クロノスドームの後に買った、初めての本格的な山岳テント…なんですかね?
オススメ度 ★☆☆☆☆
ヒルバーグのフライは「ケルロン」という素材を使っているのですが、簡単に言うとシリコンコーティングで、一般的な山岳テントで用いられるポリウレタンコーティングと比較して加水分解にかなり強いという事です。
長く使える(最低でも10年)テントが欲しいという事で大奮発してこのテントを購入しました。長く使えるという点ではICIのG-LIGHTとかも選択肢にありましたけど、当時はシングルウォールは敷居が高いと思っていたので(本当はこっちの方が高いけど)、ダブルウォールを選択しました。
大晦日の八ヶ岳の行者小屋。設営に30分くらいかかった記憶があります。
まず悪い点(多い)。
非自立式なので、設営場所に制限があります。ペグを刺さないと立たないので、涸沢のようなガレ場のテント場だと設営に苦労します。
4シーズン対応というけど、ペグを刺さないと立たないという上記と同じ理由から、雪の上での設営も面倒です。
この形。長辺が長く、さらにガイラインが伸びるので、設置面積が大きいです。例えば槍ヶ岳山荘のテント場みたいに設営スペースが限られている場所だとはみ出したり、まともに設営出来ない可能性があります。
この時点で既に★1つなんですが…
春夏秋冬、年中通して結露が多い気がする。
インナーのメッシュ部分が少ないので、夏はとても暑い(これは結露が多い原因でもあります)。
上の写真のようにフライがたるまないようにパリッと張るのが正解なんですが、コツがあって慣れるまで時間がかかる。フライがたるむとインナーとの空間が狭くなるので、これも結露の原因になります。
これはフライがたるんでいるからダメ。
あと、帰宅後のメンテナンスが面倒。濡れたテントを家に持って帰った時に、部屋の中で設営して乾かす事が出来ない。フライやインナーに着いた汚れを落とす作業も楽じゃない。
あと、これは個人的には気にしていませんが、さほど軽量でもないし(1.7kg)、収納は「コンパクト」とは程遠いです。
大雨、暴風だった種池山荘のテント場。テントが潰れるかと思ったけど、何の問題も無かった。このようなテント場だととにかく強いです。
悪い事ばかり書いていますが、それでも縦走登山だと主力として使っています。
高い買い物をしたわけだから使わないと損、という気持ちも当然ありますが、耐水・耐風性能が素晴らしいので、やはりアクトがあると安心です。
設置場所が無くてヨレヨレだった三俣山荘のテント場。雷雨に打たれても大丈夫だった。
撤収は凄い楽です。ペグとポールを抜いたら端からくるくる巻いて終わり。四隅に鉄(?)の芯があるので小さく丸く収納することは出来ませんが、撤収自体は凄く簡単に出来ます。その気になれば、フライ、インナー、フットプリント丸ごと巻いて一気に撤収なんて事も出来る。
それに、ガレ場や雪の上と違って、ペグが刺さる土の上なら自立式より速く設営出来たりもします。
良い点をまとめると、
耐水耐風性能が強力。加水分解に強いので自宅で保管中の劣化が少ない。ヒルバーグの中で最も安い(安くない)。小さく収納することは出来ないけど、撤収は楽。場所を選ぶが、ペグが刺されば設営も楽。
そして、最も良い点は「見た目がかっこいい」です。
どうしても登山でヒルバーグが使いたいのであれば、素直に「ウナ」や「ソウロ」、「ウナ」をベースに軽量化された「二アック」等の自立式をお勧めします。
★1つで悪い点ばかりを書いたのは、山の上で他人とかぶりたくないという思いもありますよ。もちろん「非自立式はやめたほうがいい」という思いが一番ですが。